第1回目の記事では山の買う時の注意点などを大まかに説明しましたが、
複雑でわからんよ!
見極められないよ!
なんて声も聞こえてきそうなので、実際のケースを想定しながら実践的な解説をしていきます。
想定されるケースでもいくつかあるので内容を整理しながら何回かにわけて説明していきます。
今回は山の隣地境界(土地の境界)についてです。
土地の隣地境界とは
隣地境界とはその土地の範囲がどこまでなのかを示すものですが、山の場合には境界杭と呼ばれる樹脂でできた合成杭が設置されていることが多いです。
こんな感じのものになります。
住宅地などでは、鋲や金属プレート、コンクリート杭などもあり一度くらいは見かけたことがあるのではないでしょうか。
つまりこれがあるかどうかによって、山を買う時、買った後の取り扱いにかなり影響すると思っています。
隣地境界が決まっていない場合のトラブル
色々想定されますが、よくあるのが自分の山(土地)だと思っていたら他人の山(土地)だった・・。
なんていう場合です。
広大な面積の中心部であればほとんど心配がないかもしれませんが、たまたま買った山のロケーション最高なエリアなどが山の隅っこの一部の土地だったりする場合、隣接する土地との境界が不明瞭なのに木を切ったり、小屋を建てた後から、「そこはうちの山だぞ!弁償しろ!」なんてこともあり得ます。
最悪の場合には山を買う金額よりも弁償額の方が高いなんてこともあり得ます。
そのほかには公簿上(土地登記事項証明の記載内容)の面積より大幅に面積が少ない・・。というケース。
これはどういうことかというと山は1筆(1つの地番のついた土地)が数千m2、数万m2なんでこともあります。
例えば公簿上5000m2と記載されている土地をいざ実測してみたら2500m2しかないなんてこともあり得ます。
せっかく買ったのに記載されてい面積の半分しかないのでは悲しくなってしまいます。
これだけではありませんがこんなトラブルが比較的簡単に想定される場合があります。
ではどうすればよいか解説していきます。
山を買い方、選び方のポイント
具体的な方法を説明します。
それは、可能な限り国土調査済み(地籍調査済)の土地を買え!ということ。
これは方法として一番おすすめです。
国土調査とは国(国土交通省)が国土の開発、保全、利用の高度化に資するとともに、地籍の明確化を図ることを目的に実施する事業です。
全国の地籍調査の実施状況 ※国土交通省公式サイトより
元年度末時点における地籍調査の進捗率は52%なので、都道府県や市区町村によってその取り組みにかなり温度差があります。
逆にいうと予算や時間のかかる事業なのでその市区町村などが土地の境界などに関心があるかないか、その重要性を認識しているかいなかというのがあらわされているものでもあると考えられます。
なぜ国土調査済み(地籍調査済)の土地が良いのか。
ひとことでいえば前述したトラブルが起こりにくいです。杭が設置されているのでどこまでが自分の山なのか隣人の山なのかがハッキリしています。
また設置された杭が滅失していてもほとんどの場合、(専門家の作業が必要ですが)ほぼ正確に杭を復元することが可能になります。
それともうひとつ、登記簿(登記事項証明の記載内容)も「国土調査による成果」として面積が正確に修正されていますので公簿上(土地登記事項証明の記載内容)面積で売買契約する公簿売買でも実測売買でもほとんどの場合、面積に差がない(あってもわずか)ので安心して取引できます。
国土調査が行なわれているのか調べる方法
地籍調査状況マップで確認する
全国津々浦々の地域の状況がおおよそのマップで確認できるのでどのエリアにしようかなどのおおよその特定ができるようになります。
登記事項証明書を取得する
法務局で登記事項証明書と呼ばれる土地の地番や地籍(面積)権利状況が確認できる書類があります。
多くの場合に国土調査が行われていると「国土調査による成果」が記載されています。
赤丸で囲んだところを見ると「国土調査による成果」よって366m2の土地が304m2に更正されているのがわかるかと思います。
現地に設置された杭を正確に測量していますのでほとんど公簿面積と実測の面積に誤差がないのが特徴です。
市町村役場に聞いてみる
役所の担当者に聞いてみると詳細な説明が受けられると思います。
が、しかしその部署を特定するのが難しい場合もあります。
国土調査の担当者がいればいいですが、そもそも事業を行っていない市町村には担当者がいない場合がります。
その場合には建設系、農業系、林業系、財産管理系の部署に聞いてみましょう!
国土調査済み(地籍調査済)でなければダメなわけではない。
もちろん国土調査が行われていない山も沢山あります。
国土調査(地籍調査)が行われていれば地籍や境界が確定されていてトラブルが少ないという話ですので、確定されていなくてもトラブルさえなければいいわけなので隣地の方の立ち合いを求めたり、業者さんや地元の方から情報を収集できれば円満な利用は十分に実現できると思います。
おわりに
既に勘の良い方はお気づきかもしれませんが、この話結局のところこの山だけに限った話ではないのです。
宅地や雑種地、農地などでも起こりうる一般論でしかありません。
必要最低限ここだけはというポイントで押さえておいてほしいというところを簡潔にまとめてみました。
なので、自身のある方はこのとおりであくてももちろんOKですし、不安な方は参考にしていただければと思います。
次回も山を買う(扱う)のに必要なポイントについて解説を続けていきたいと思います。
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