農業は、個人経営と法人経営どちらがいいのかメリットとデメリットを調べながら考えています。
前回の記事はこちら。
農業の経営形態に関する考察(前回のおさらい)
個人経営が良いのか法人経営が良いのか調べた結果が、それぞれの環境によって一人ひとり違うものになるということが自分なりの結論となりました。
出展:日本農業法人協会
では、上のような法人形態(法人経営)以外にも、もっと良いとこどりができるような法人制度はないのかと調べてみたところ・・・
・・・ありました!!
しかもこれって本当にいいかもしれない!という期待も含めて調べてみました。
ちなみにその法人の形態は。「有限責任事業組合」略すとLLPと言われるものになります。
もし誰かの参考になればいいなと思いながら書き残しておきたいと思います。
有限責任事業組合とは
有限責任事業組合(LLP)は「Limited Liability Partnership」の略で、イギリスの制度にならって日本流に制度化されたものといわれているようです。
・構成員が共同で新たな事業を行うことを目的とした任意組織である
・出資者が出資額までしか責任を負わない有限責任制をとっている
・損益分配を含め内部の取り決めは株式会社等と比べ自由に行うことができること
・組合員は有限責任なので組合の負債に対して出資額限度でしか責任を負わなくてすむ
・LLPは法人では無いため法人関係の税金が存在せず役員報酬や配当も無税である
・登記や各種申請、銀行口座など名義については、法人と同等に組合名義で登録できる
などの特徴を持っています。
他の各種法人の特徴及び設立手続きは以下のとおりとなっています。
出展:会報 2015 Vol.93「各種法人の特徴及び設立手続き」
有限責任事業組合(LLP)による経営上の注意点
農林水産省のHPに有限責任事業組合(LLP)による集落営農の組織化についてのQ-Aが掲載されていました。
農林水産省:集落営農・特定農業団体に関するQ&A(第2版)の問29に記載があります。
そのなかから注意点をまとめてみました。
主な注意点
・実態及び組織としての発展段階を十分に考慮した上で活用することが望ましい
・特定農業団体となるには、LLPの要件の他に別途、特定農業団体の要件を満たす必要がある。※
・品目横断的経営安定対策の加入対象となるためには、同対策の規模要件も満たす必要がある
・労務による出資ができない(LLP法第11条)
・原則、総組合員の同意によらなければ業務執行を決定することができない(同法第12条)、
・貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書の作成が義務付け(同法第31条)
※特定農業団体になる要件
(1) 農作業を受託する組織であること
(2) 規約が作成されていること
(3) 一元的な経理を行っていること
(4) 中心となる者の目標農業所得額が定められ、かつその額が法人化後に一定水準以上の額を満たす計画であること
(5) 農業生産法人化計画を有すること
などをを要件としていて、営農における有限責任事業組合(LLP)の活用は組織の状況に応じて活用することが重要であるとしていています。
具体的な活用事例
具体的な活用事例としては、
(1) 集落営農において共同化が進んでいる部門(農作業受託、機械利用・農産物加工等)について、有限責任事業組合(LLP)を活用し共同事業化する
(2) 機械所有等の共同化・効率化を図るため、オペレーター同士が集落を対象として農作業受託組織をつくる場合に有限責任事業組合(LLP)を活用する
などのケースが考えられるということですが、このケースだけでなくもっと活用できる範囲があって、農業分野でも十分応用ができると思われます。
有限責任事業組合(LLP)による農業経営の具体性
色々と調べてみましたが、有限責任事業組合(LLP)による農業経営には、具体性があるという結論です。
あくまで個人の主観です。
ただし、注意する点というかポイントになってくる点として、
有限責任事業組合(LLP)という法人ではないけど、法人のような良いとこどりした制度はあるけど、注意すべき点や状況によっては制度的に制限がある部分もあるので、それぞれ組織(組合員=運営者)の状況に応じて適切に活用することが重要だよ!ということがわかりました。
つまり、どんな形態がよいのかはそれぞれにメリット、デメリットがあるのでそれらを見極めるのは法人化するかどうか検討する際に必須ということですね。
色々調べて、グルっと回ってもとの位置にもどるような感じになりましたが、ざまざまな組織形態が理解できたことは成果だったと思います。
読んでいただいた方にも少なからずヒントになるようなことがあればいいなとおもいつつ、次は、農業視点で考えた法人形態を林業に置き換えて考えていきたいと思います。
つづく。
前回の記事はこちら。