農業の個人経営と法人経営どちらがいいの?? メリットとデメリットを調べてみた。(その1)

農業の個人経営と法人経営どちらがいいの?? メリットとデメリットを調べてみた。(その1)

業の個人経営と法人経営どちらがいいの?? メリットとデメリット

農業自体は個人で行うことができますし、個人で行った方が精神的には楽な場合が多いです。

良くも悪くも自分自身の判断で耕作を行いますので、責任や成果など生産活動全般が自分次第になってきます。

半面、設備投資や資金繰りなどは全て個人の信用と責任で行いますのでどうしても不安定になってしまう部分もあります。

また、規模もあくまで現状維持していくのが精一杯で、代々受け継がれてきた農地(田畑)による耕作にとどまるケースが多いと思います。

そうすることによって、機械化しても面積に対する効率は上がっても費用が過剰になってパフォーマンスが悪くなってしまったり、面積を拡大しようにも品目あたりの数量を増やしても収支が伴わなかったり、収支を改善しようとしても多品目に拡大すると効率が悪くなったりとなかなか難しい課題が立ちはだかってくる場合が多いです。

そんなことも考慮しながら自分なりに個人経営と法人経営のメリットとデメリットを調べてみましたので整理しておきたいと思います。

農業経営を法人化した場合のメリット

農業経営を法人化した場合のメリットについて考えてみたいと思います。

法人と言ってもその形態が様々なため例外もあると思いますが、ニュアンスを掴むことはできると思います。

農業法人体系

出展:日本農業法人協会

調べたところによると経営上と制度上の大きく2点において、下記のメリットがあるということがわかりました。

「経営上のメリット」と「制度上のメリット」の2点です。

それぞれについて別に拾い上げてみました。

経営上のメリット

〇経営管理能力の向上
→経営責任に対する自覚が持てる。
→経営者としての意識改革できる。
→家計と経営の分離による、経営管理の徹底できる。

〇対外信用力の向上
→数管理の明確化や各種法定義務(設立登記、経営報告等)を伴うため、金融機関や取引先に信用力を示す事が可能となる。
→「企業」としてのイメージ向上により、商品取引や従業員の雇用等が円滑化される。

〇人材の確保・育成
→労働環境の整備により従業員の待遇向上、雇用が円滑化される。
→法人に就職することで初期負担なく経営能力、農業技術の習得が可能なことから、新規就農者の確保が個人経営よりも容易になる。

〇経営継承の円滑化
→法人の役員、社員等の中から有能な者を後継者として確保することが可能である。
→法人として経営・取引を行うことで、事業継承後も対外信用力が継続する。

制度上のメリット

〇税制面での優遇
→所得の分配による事業主への課税軽減
→定率課税の法人税の適用
→役員報酬の給与所得化による節税
→役員報酬は法人税において損金算入が可能
→所得税において役員が受け取った報酬は給与所得控除の対象となる
→使用人兼務役員賞与の損金算入ができる。
→退職給与等の損金算入ができる。
→欠損金の9年間繰越控除ができる。(青色申告法人に限られる・個人は3年間)
→農業経営基盤強化準備金の活用ができる。(青色申告法人で認定農業者に限られる)

〇社会保障制度
→社会保険、労働保険の適用による農業従事者の福利増進が図れる。
→労働時間等の就業規則の整備、給与制の導入による就業条件の明確化できる。

〇制度資金・融資
→融資限度額の拡大が期待できる。
→農業経営基盤強化資金が活用できる。(スーパーL資金)(認定農業者に限る)
・貸付限度額:個人3億円(特認6億円)、法人10億円(特認20億円)
・円滑化貸付:最大1億円の無担保・無保証貸付

〇農地の取得
→農地中間管理機構が農用地等を現物出資することにより農地取得の負担軽減が図れる。

などの様々なメリットが受けられるため、経営基盤が確立されやすくなり経営の規模拡大、多角化へのハードルが低くなります。

そのほか新規就農や地域雇用の受け皿となるなど地域社会の活性化に果たす役割の重要性も指摘されているので、それらの問題解決、解消にも寄与できると言えますね。

その半面でメリットがデメリットにもなる

前述したこれらのメリットは法人化することによって自動的に享受されるものではありません。

農業経営の継続・発展のための経営努力のなかで生み出され、獲得していくものとして理解する必要があります。

また法人化することによってデメリット化する部分も当然にしてあります。

例えば、管理コストの上昇や農地等の相続税の納税猶予制度や生前一括贈与の特例を受けられなくなる場合もあります。

自らの経営内容をしっかりと把握したうえで、状況等を多角的に検討し、法人化していくことがポイントになってきます。

また、法人化することにより自動的に法人として住民税などの租税負担も課せられてきます。

農業法人数の推移

農業法人数は年々増えている。(出展:日本農業法人協会)

農業の個人経営と法人経営どちらが良いのか

個人経営がよいのか法人経営がよいのか答えは一つではありません。というのが今回調べてみて一定の結論となりました。

それぞれの環境によってその答えは一人ひとり違うものになると言えるのは間違いないでしょう。

制度的な変更もあったりするとそれによって答えが180°変わる場合もあると思います。

そういったことを踏まえながら、更に制度的を有利に活かせるものはないのかを引き続き検証していきます。

 

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→ 農業の個人経営と法人経営どちらがいいの?? メリットとデメリットを調べてみた。(その2)

 

 

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